クラシック音楽全史の感想。時代と共に進化する音楽の歴史。

書籍

 

小学一年生の頃からピアノを習い、中学では吹奏楽部に入り、社会人になってからもコンサートに行くなどクラシックが大好きな僕だが、クラシックの歴史や作曲家の生い立ちなどにはほとんど触れていなかった。

 

ピアノでよく出てくる作曲家(ベートーヴェン、モーツアルト、ショパン、バッハ、リスト、ドビュッシー等)は名前は勿論知っているし、代表曲もだいたいわかるが、交響曲に関しては知識が浅く、交響曲〇番と言われてもよくわからない。

 

CDを適当にあさって好きだなと思う曲は何度も聴くが、第一印象であまり好きじゃないと思えばそれ以降聴くこともない。

 

こんなにわかクラシック好きな僕が初めて読んだクラシックの歴史の本が「クラシック音楽全史」。

メルカリで人気の本と知り興味を持って読むことにしたのだ。

 

この本を書いたのは東京フィルハーモニーの広報の方で、クラシックの素晴らしさは勿論、西洋ではクラシックの知識があるとビジネスにも有効だという話や、世界の歴史と共に音楽の歴史をわかりやすく書いている。

僕は歴史があまり得意な方ではなく、「フランス革命」とか「産業革命」とか言われても、名前しか知らないという残念な知識しか持っていない(高校の世界史の定期テストで9点をとり散々叱られた)

それぐらい世界の歴史には疎い僕でも、この本はとてもわかりやすく書いてあり、読むのが苦ではなかった。

 

時代が古い方から書かれていて、作曲家がどの時代に生き、どの作曲家と共に過ごし、どの作曲家を尊敬していたかなど作曲家の縦横の繋がりがわかる。

そしてその作曲家がどんな音楽をどんな生活の中で作っていたのか、誰のために作ったのか、など、簡潔にまとめられていた。

 

印象に残っているのは、古典派の作曲家はほとんど王族貴族や仕えている教会のために作曲していたけれど、ベートーヴェンは誰のためでもなく人類全ての人に対して曲を作っていた、ということ、そして自分の感情や想いを曲にした初めての人だということ。

第九は神聖な曲として扱われていて、日本のように頻繁に演奏されることはない、というのも意外であった。

 

作曲家だけではなく、楽器や音楽形態についても書かれている。

古典派の時代にはまだ楽器も少なかった、ということや、ピアノの鍵盤も最初から88鍵あったわけではない、ということ。

交響曲、協奏曲、管弦楽、室内楽、オペラ、などの違いについて。

ソナタ形式とは何なのか。

クラシックを聴く上で欠かせない情報がたくさん。

 

僕のように全然知識がなくてもクラシック音楽は楽しめる。

音楽は心に働きかける強い力があるし、そこに知識は全く必要ないと言ってもいい。

芸術と呼ばれるものはみんなそうだと思う。

 

だけど、そこにもう一歩踏み込んでみたい、と思った時には知識が必要となる。

例えば料理も、なんとなく味見をしながらでも美味しい料理は作れるのだが、食物の栄養の知識がないと栄養バランスを考えた料理は作れない。

それと同じように、音楽も知識があって聴くと聴こえ方が変わるのだと思う。

〇〇という技法が使われている、と知って聴けばどのあたりにその技法が使われているのかな、と注意しながら聴くし、日本人に馴染みのある懐かしいメロディーに聴こえると思ったら、ある技法が共通して使われていることがわかる。

1人の作曲家に対してこの曲を作った時にはどんな境遇にあったのか、どんな暮らしをしていたのか、ということにも疑問がわくし、逆にこういう境遇の時にどんな曲を作っているのだろうと曲を聴いてみたくなる。

 

漠然とCDをあさるのも勿論楽しいのだが「クラシック音楽全史」を読んで、クラシックの聴き方や探し方の幅が増えたな、というのが大きな収穫であった。

最後にはクラシック音楽が使われている映画の紹介もあり、映画好きの僕としては全てコンプリートしたいところだ。

 

 

 

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